学会印象記 第35回日本臨床病理学会総会
臨床病理学の"聖地"での意義深い総会/"Dream & Challenge"を相言葉に
神奈木 玲児
1
1京都大学医学部臨床検査医学教室
pp.84-86
発行日 1989年1月15日
Published Date 1989/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913889
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第35回日本臨床病理学会総会は,昭和63年10月20日から22日の3日間,宮地隆興教授(山口大学臨床検査医学教室)を会頭として山口市で開催された.総演題数は688題で,16会場にわかれて行われた.参加者は,2000名を超えている.総演題数とその分野の内訳は例年とほぼ同じ傾向であり,本邦の臨床病理学会が安定し,着実に発展していることを示している.
山口は,1951年に本邦ではじめて臨床病理学講座が設けられた,臨床病理学のいわば聖地であり,大会第1日は,発足当初この講座を担当された柴田進教授の特別講演「臨床化学:辿りつき振り返りみれば」が行われた.若い医学徒のころ,とある基礎医学の教室に出入りし,そこで当時の臨床医学があまりにも粗雑な学問であることを印象づけられたことが,後年臨床病理学という学問を構想する大きなきっかけとなったことが述べられた.さらに,臨床病理学の基礎づけには,生化学をはじめとする実証科学が大切であるとの考えから,技術面では臨床化学の定量法の開発と機械化へ,また診断面ではコンピュータを導入した検査診断(いわゆるCALD)に進んで来られた道筋が紹介された.
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