特集 アイソザイム検査
II.各論
10 アリルアミダーゼ
関 知次郎
1
Tomojiro SEKI
1
1名古屋市立大学医学部附属病院中央臨床検査部
pp.1287-1290
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913794
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アリルアミダーゼの本態
臨床検査にこの酵素が登場したのは,1958年のGoldbarg,Rutenburg1)の報告による.このときはロイシンアミノペプチダーゼと呼ばれ,基質はL-ロイシン-β-ナフチルアミド(L-Leu-β-NA)が用いられていた.しかし,血清中にあるこの基質に対する活性はいくつかのジペプチド類に対する活性とは平行せず,ロイシンナフチルアミドヒドロラーゼと呼ぶべきであるといわれるに至った2,3),1963年5月10日に受理されたFleisherら4,5)の論文では,ニンヒドリン法を用いて,15μlの血清を試料として,ロイシルグリシンなどいくつかのジププチドを基質とするアミノペプチダーゼ活性が血中にあること,L-Leu-β-NAを切るものと切らないものとの2種に区別できることを明らかにしている.
1972年にはKimら6)が,小腸粘腸(ネズミとヒト)を用いてロイシンを含むいくつかのジペプチダーゼ活性を調べている.彼らは,粘膜細胞を分画してbrushborderや細胞上清での局在性や,それらの酵素の基質特異性を問題にしている.いわゆるアミダーゼ活性とアリルアミダーゼ活性とが明らかに区別でき,特にbrush borderに結合していると思われる酵素活性にはネズミとヒトとで違いがあると報告している.さらに,酵素を可溶化するためには蛋白水解酵素の助けが必要なことが,これらの酵素の化学的本態を明らかにするのを妨げていると指摘している.
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