今月の主題 迅速検査;現状と今後の動向
病態解説
MOF
真辺 忠夫
1
,
野中 敦
1
,
戸部 隆吉
1
Tadao MANABE
1
,
Atsushi NONAKA
1
,
Takayoshi TOBE
1
1京都大学医学部第一外科学教室
pp.283-287
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913601
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脳,心,肺,腎,肝,消化管,血液凝固系などの重要臓器や系が同時に,あるいは短期間に,連続的に機能不全に陥る状態をMOF (multiple organ failure;多臓器障害)という.術後のMOFは,われわれの教室例では2.8%にみとめられ,肝・胆・膵疾患,食道疾患の術後に発生率が高い.術後MOF発生までの期間は平均10.9日で,腎不全は72%,肝不全は71%,肺不全は52%,消化管出血が44%,DICが38%にみられ,2臓器不全では91%,3臓器以上の不全では100%が死亡しており,MOFはいったん起こると救命率のきわめて低い病態である.MOFの発生因子としてはショック,sepsis (敗血症)などがあり,外傷,術後合併症に対しては重要臓器に対する庇護対策を早期に実施し,とくに感染の予防,循環動態の維持などに努めることがきわめて重要と考えられる.
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