わだい
生体ポリアニオンセンサー
梅澤 喜夫
1
1北海道大学理学部
pp.1331
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913147
- 有料閲覧
- 文献概要
種々のイオン種の有機ホスト分子への結合および認識は,生体系においてもたいへん重要になっている.今までのモデル研究は主として陽イオンの認識に注がれており,クラウンエーテルなど合成ホスト化合物により行われている.最近,ある種の大環状ポリアミンが生体ポリアニオン,例えばATP4—,ADP3—,AMP2—,ポリカルボン酸イオンなどに対し,受容体のように振る舞うことが見いだされている.
最近われわれは大環状ポリアミン,1,4,7,10,13—ペンタアゾシクロヘキサデカン(16aneN5と略記される)にヘキサデシル基(—C16H33)を導入して脂溶性としたものを用いた新しい液膜型陰イオンセンサーを試作し,種々の陰イオンに対する応答性の検討を行った.16aneN5の構造は図1のようで,これをフタル酸ジオチル(DOP),またはο—ニトロフェニルオクチルエーテル(ο—NPOE)に溶解させ,ポリ塩化ビニル(PVC)に含浸させたものを感応膜とした.作製した液膜型イオンセンサーの構成を下に示す.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.