医学の中の偉人たち・2
Claudius Galen 実験生理学の父
飯野 晃啓
1
1鳥取大学医学部解剖学第1
pp.196
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912887
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GalenはHippocratesと並んで,古代西洋医学の二大聖医と称される.しかし,この二人は時代的には500年の隔たりがあるのである.ローマ時代最大の医学者とされるGalenは実はギリシャ人であり,当時ローマに支配されていた小アジアのペルガモン,現在のトルコのベルガマに生まれた.おおよそAD 130〜200年の人である.彼の父はNikonという建築家で哲学に興味を持ち,自然科学にも造詣が深かった.医神Asklepiosの夢を見た父が,そのお告げに従って,Galenを医師にしたと言われている.
Galenは当時医学の盛んであった各地を遍歴し,特にアレキサンドリアで臨床経験を積んだ後に故郷のペルガモンに戻り,剣闘技道場の外科医となった.Galenは剣闘士たちの健康を維持するため病気の予防手段の重要性を考え,重傷の剣闘士を治療することにより人体の解剖学,特に骨や筋肉の構造を観察する機会を得た.彼の名声は時のローマ皇帝MarcusAurelius Antoninusの知るところとなり,Galenは皇帝の侍医に起用され,安定した生活の中で医学の診療,実験,著述に専念した.ローマ帝国全盛時代に皇帝の庇(ひ)護の下に医学を修めえたGalenは,その面でも恵まれていた.
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