特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
1 物理的因子
4 振動
岩田 弘敏
1
,
笠松 隆洋
1
Hirotoshi IWATA
1
,
Takahiro KASAMATSU
1
1和歌山県立医科大学公衆衛生学教室
pp.1309-1312
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912357
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□振動と健康影響
振動による健康影響には,大きく分けて二つがある.一つは,乗物などのように全身的に振動を受ける場合で,もう一つは,振動する工具(機械)を使用することにより上肢などの特定の部位に振動を受ける場合である.両者は負荷される部位が異なるだけで,生体への振動の力学的作用には違いはない.
許容基準を上回るような力学的振動量を受けると,振動が生理機能へのストレッサーとして働き,視床下部や視床の興奮を引き起こし,脳下垂体を刺激して副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotrophic hormone;ACTH)の分泌を高め,これが副腎皮質に作用し,そこから副腎髄質の活性も高め,カテコールアミンの分泌が増し,交感神経系の緊張亢進が生ずる.振動とともに騒音も発生するので,これらが互いに相加,相乗的に脳下垂体—副腎系の活性を高める.
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