今月の主題 男と女
検査と疾患—その動きと考え方・94
性ホルモン依存性腫瘍
野口 眞三郎
1
,
松本 圭史
1
Shinzaburo NOGUCHI
1
,
Keishi MATSUMOTO
1
1大阪大学病理病態学教室
pp.1171-1178
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912327
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Jensenらが,1962年にラット子宮の可溶性分画内にエストロゲンと特異的かつ高親和性に結合する蛋白(エストロゲン・レセプター)を証明して以来,ステロイドホルモンの分子レベルでの作用機構に関する研究は長足の進歩を遂げた.その結果,乳癌・前立腺癌などの性ホルモン依存腫瘍にも正常の標的臓器と同様のホルモン・レセプターが存在し,腫瘍のホルモン依存性と密接な関係にあることが分かった.現在では,乳癌の治療にあたっては,これらホルモン・レセプターの測定が必須のものとなっている.本誌では,代表的な性ホルモン依存性腫瘍である乳癌と前立腺癌を取り上げ,癌のホルモン依存性とホルモン・レセプター測定の意義について述べる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.