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新しい顆粒球由来エラスターゼ測定法に関する基礎的検討
櫻林 郁之介
1
,
飯村 康夫
1
,
石井 周一
1,3
,
本間 寿美子
2
,
河合 忠
1
1自治医科大学臨床病理学
2自治医科大学循環器内科
3中央鉄道病院内科
pp.725-728
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912225
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はじめに
顆粒球中に含まれるエラスターゼは中性プロテアーゼの一つで,炎症と密接な関係を有している.すなわち,炎症において顆粒球は細菌などの障害因子を貪食し,これを分解するとともに,ライソゾームを放出する.このライソゾームに含まれるエラスターゼなどのプロテアーゼにより組織の崩壊が生じ,炎症特有の組織破壊が起こると考えられている1,2).したがって,炎症組織や循環血液中の顆粒球中エラスターゼを定量的に測定することは,炎症の診断や経過の追跡に有効であると考えられる3).しかし,血漿中の顆粒球エラスターゼはα1-プロテアーゼインヒビター(α1-PI)と複合体を形成し4)酵素的には不活性な状態であるので体液中の顆粒球エラスターゼを測定することは困難であった.
今回,われわれはこの顆粒球由来エラスターゼを免疫学的手法を用いて特異的に測定するキット(E.Merck社)を使用する機会を得,基礎的検討を加えたので報告する.
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