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資料
検査室で迷走神経性不整脈を認識するコツ
The trick of revealing vagotonia-induced arrhythmias in the clinical laboratory
池田 裕
1
Hiroshi IKEDA
1
1和歌山県立医科大学臨床検査部
1Department of Laboratory Medicine, Wakayama Medical College
pp.449-451
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912172
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リカンベント・アリスミア(臥位性不整脈)は迷走神経性不整脈である
心臓調律は,主に,促進的な交感神経と抑制的な迷走神経からなる神経因子によって制御されており,運動や体位変換に際しては,これに即応して血圧を維持して酸素需要を満たすための反射,つまり頸動脈洞や大動脈弓の圧受容体からの心臓血管反射が生じる.ために,臥位から立位になると,下肢に血液の停滞が生じて静脈還流が減少し,頸動脈洞圧が低下して圧受容体からの反射が生じて交感神経系の活動性がたかめられる.そして,心拍数増加と拡張期圧の上昇が生じ1),心電図上にPQ間隔の短縮がみられる2).
ところで,心電図は心臓迷走神経の活動が優位となる臥位で記録されているが,臥位で認めた不整脈のうち,立位に体位を変えると洞性整調律に変化するものがある.これを著者はリカンベント・アリスミア(臥位性不整脈)と呼称した3).この臥位に限って出現する不整脈は,心臓迷走神経活動がたかまる深呼気相で不整が増し,迷走神経活動が抑制される深吸気相で不整が減じたり消失したりするし,運動負荷直後の臥位でも消えることが多い.また,迷走神経末梢でその伝達物質アセチルコリンを硫酸アトロピンで抑制すると,数時間にわたって不整が消失しているが,頸動脈を圧迫したり,薬剤によって迷走神経を刺激すると,この不整は増悪する.つまり,臥位性不整脈は迷走神経性不整脈であると考えてよい4).
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