今月の主題 血栓症
カラーグラフ
血管と血栓
住吉 昭信
1
,
林 透
2
1宮崎医科大学第一病理学
2宮崎医科大学第一病理学教室
pp.4-6
発行日 1984年1月15日
Published Date 1984/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912089
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血液は正常状態では,生体の心血管内を凝固せず,つねに流動性を保ちながら循環し,生体の代謝や機能の発現に重要な役割を果たしている.これは血小板の凝集や血液凝固と血小板の解離・血栓溶解の過程とが動的平衡を保っているからであり,血栓症とはこの動的平衡が破れて,生体の心血管内で血液が凝固して塊を形成する病的現象である.この動的平衡を破綻させ血栓形成に導く要因としては,古くから①血流の変化,②血液性状の変化,③血管壁性状の変化,の三つが挙げられているが,血管壁の性状の変化がもっとも重要である.また,血栓形成は血管壁の肥厚を引き起こし,動脈硬化の発生・進展に関与する.
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