今月の主題 モノクローナル抗体
検査と疾患—その動きと考え方・84
悪性リンパ腫と類縁疾患
小柴 博文
1
,
菊地 浩吉
1
Hirofumi KOSHIBA
1
,
Kokichi KIKUCHI
1
1札幌医科大学病理学第1講座
pp.1620-1626
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912072
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はじめに
Non-Hodgkinリンパ腫の分類は,これまでRappaportの分類のように病理形態学を中心とする分類であった.これらの分類は臨床家に多大な貢献をしてきたが,ともすれば主観に傾くところがなきにしもあらずであった.
近年,ヒトリンパ球に関する免疫生物学的知識が集積されるにつれて,従来の病理形態学に免疫生物学的知識を加味したより客観的な新しい分類が試みられてきている.またモノクローナル抗体が高力価で特異性が高く1),しかも大量生産ができ,標準化した試薬として,同一のものをどこででも用いうるということも新しい分類が可能となった,重大な理由である.モノクローナル抗体の持つこれらの性状は,近い将来,臨床検査室で悪性リンパ腫の分類をさほどの経験がなくとも客観的に行わしめるであろう.
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