特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅱ 筋電図
3.単線維筋電図
1)出現様相について
本間 伊佐子
1
1虎の門病院生理学科
pp.1350-1356
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911398
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
神経・筋系の疾患に対して筋線維の活動電位を指標とする筋電図検査が用いられてから久しい.筋肉は多数の筋線維から成り立っているが,収縮の単位としては,一つの運動神経細胞と,1本の神経線維と,それによって支配されている1本の筋線維の組み合わせである.
運動単位(motor unit),またはNMU (neuromuscu-lar unit)と呼ばれているこの組み合わせの機能を検査することによって,神経・筋系の疾患の損傷部位がどこにあるかを解明しようとするわけである.針電極を用いる筋電図検査はこの目的から始まっているが,実際には一つの神経細胞の支配している筋線維の数は,筋によって異なるが数本〜数100〜1,000本にも及んでおり,末梢部では各々のmotor unitは複雑に入りくんだ構造となっている.また従来より用いられている臨床検査用の針電極は直径80〜100μmであるから,導出される活動電位は幾つかの単線維活動電位が重なりあった波形であり,時には他の神経支配下の筋線維活動も混入しており,単線維の活動は想定しているにすぎなかった.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.