特集 臨床検査室マニュアル
Ⅰ.検査室の設計
設備E 廃液
白戸 四郎
1
1神奈川県立衛生短大
pp.1150-1155
発行日 1976年11月1日
Published Date 1976/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909533
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病院内における検査室廃液処理の考え方
1975年12月18日中央公害対策審議会は300床以上の病院を水質汚濁防止法の規制対象事業場に加えるべきである旨答申した.将来この枠は更に厳しいものになり,病床数の少ない病院もいずれ規制対象事業場に指定されるものと思われる.これは病院から排出される廃液の中に環境汚染物質が多量に含まれているからである.既に1972年環境庁の行った実態調査で何らかの条項で不適当とされた病院が46病院中41,89%に及んだことが報告されている1).上記の答申案は3年間の猶予期間をおいているが,その後には直罰規制が行われるため早急な対策が必要とされ,多数の業者が検査室廃液処理装置を販売するに至ったが,これらの一,二を購入すれば良いというほど,事は簡単ではないのが実情である.現在市販されている装置はほとんどのものが重金属かシアンを対象としている.しかし病院廃液の規制はこれらだけについて行われているのではなく,前記の環境庁の調査で不適当とされたものの中にはBODによるもの39%,大腸菌によるもの76%が含まれている.規制はまた検査室廃液だけに対してなされているものではなく,病院からのすべての廃液に対するものである.病院では検査室以外からも多量の化学廃液が排出されている2).
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