第3回樫田記念賞受賞論文
穿刺細胞診における肺癌細胞の形態と問題点
柳川 弘
1
1徳島大病院中検
pp.704-710
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909025
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肺癌の細胞診は,癌の早期診断に,また組織型の推定による治療および予後の判定に重要な役割を果たしている.更に最近,診断成績の向上を目的として試料採取法に工夫がなされ,病巣の擦過および穿刺技術が著しく進歩した.
しかし穿刺あるいは擦過細胞診は喀痰細胞診に比べて新鮮な細胞を対象とするため,1969年に肺癌学会の発表した肺癌細胞の判定基準が組織型によってはそのまま当てはまらず判定に混乱を来す場合がある.また従来,肺癌細胞の判定に用いられてきたパパニコロウの判定基準は,喀痰などのように自然に剥離した細胞が時間的経過によって変性した所見,例えば核膜の肥厚,輪郭の不規則性,クロマチンの融解などを基礎としている.
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