日常検査の基礎技術
試験菌株の保存法
坂崎 利一
1
1国立予防衛生研究所細菌第1部第1室
pp.209-216
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908443
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どのような分野の仕事であろうと,微生物を扱う人たちにとって,株の保存は実務に付随する重要な業務である.臨床細菌検査室においても例外ではなく,特に近年,細菌検査の精度管理の必要性が叫ばれているおりから,それに用いる菌株の保存は,これからの臨床検査においては,ないがしろにできない仕事となろう.
この種の菌は従来しばしば標準菌株と呼ばれているが,この名称は当たらない.生物には標準はありえないし,同じ菌種,同じ血清型であっても,すべての点において完全に同じ菌は存在しえない.それぞれどこかで異なっている.したがって,精度管理に用いる菌株はもちろん由緒正しいものでなければならないが,それは"標準菌株"ではなくて"試験菌株"あるいは"パイロット菌株"と呼ばれなくてはならない.
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