走査電顕の目・16
尿道分泌物—淋菌
木下 英親
1
,
田崎 寛
1
1慶大泌尿器科
pp.457-458
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908518
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最近,淋菌性尿道炎(淋疾)は爆発的流行はないが散発的流行をくり返しつつ年次増加の傾向にあり,非淋菌性尿道炎に対する割合も増加している.感染機会(性交)後,2〜8日間に,尿道の痒感,外尿道口の軽度の発赤,粘液性の分泌などの症状の時期より,外尿道口の発赤,腫脹が著明になり,分泌物も膿性となり排尿時に激痛を訴える,いわゆる膿漏期になる.診断は,このような感染機会と現症のほかに,尿道分泌物よりの淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出が重要である.粘性あるいは膿性の分泌物中には好中球が多数認められ,その細胞の内外に,腎臓形の淋菌が2つ対になっている双球菌としてみられる.淋菌はグラム染色で,グラム陰性菌としてさらに明らかになるが,多くの場合,メチレンブルーによる単染色で,白血球,上皮細胞の核は薄く青染されるのに対して,深い青色に染まり,大きさがそろっている双球菌を示すので,臨床症状とあわせて,淋疾の診断が可能となる.
患者は,39歳男子で約2週間前に感染機会があり,来院3日前より外尿道口より膿性の分泌物を認め,痒感があり,排尿痛は軽度であった.この外尿道口よりの分泌物をスライドグラス上に塗布し,メチレンブルー単染色を行ったところ,好中球多数を認め,淋菌もまた認められた.同時にグラム染色を行い,グラム陰性であることを確認した.
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