技術解説
プール血清の作りかた—化学検査の精度管理
飯田 初代
1
,
北村 元仕
1
1虎の門病院臨床化学検査部
pp.1559-1568
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908357
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プール血清の役割
プール血清とは,いうまでもなくX-R管理図用に利用される凍結保存血清である.‘毎日の検体の流れの中に,2本,ランダムに投入する’だけではない.自動分析装置ではドリフトや突然起こる測定値変動のモニター,あるいは標準液の代用として20本に1本はプール血清を入れる.技術が未熟でバラツキが大きい時も同様である.同時測定の再現性を調べるのも,添加回収試験も,実験の材料はまずプール血清である.異変の発生はプール血清が黙って知らせてくれる.Xの値が異常に動けば,その誤差の原因は徹底的に調べられるから,プール血清は化学検査の技術改善のいとぐちである.休日や夜間の慣れない緊急検査も,プール血清の値がまともに出ていることを確かめて,安心して報告する.また,請われると他の検査室に輸出することもある.私たちはプール血清のことを略して,だれいうとなくPSと呼んでいるが,それは決して‘あとがきpost script’ではなく,私たちの‘powerful servant’なのである.
それだけに私たちの検査室では,7-8か月に1回,総がかりでプール血清を作る.写真で示したのはプール血清作りの風景だが,たいへんな仕事である.ザイツの細菌瀘過器など,道具立ても仰仰しい.しかし,昔からこのように作っていたわけではない.
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