特集 自動化臨床検査法
化学
デンシトメトリー
土屋 俊夫
1
,
小林 富男
1
1日大臨床病理
pp.1279-1283
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908296
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
デンシトメトリーとは,‘濾紙電気泳動法において瀘紙上のタンパクその他を定量する場合に光度計(Densi-tometer)を用いる方法である’と定義され1),また1959年には電気泳動学会によって‘濾紙電気泳動分析に用いるデンシトメーターの規格および検定法2)’が制定されている.いずれにしてもデンシトメトリーの歴史は非常に浅く,濾紙電気泳動法の出現によって促されたものといえよう.
タンパク質はその物理的,化学的,生物学的に非常に複雑な性質を持った成分であるために,古くからこれを定量的に分析しようとして考え出された多くの方法は,いずれも近代医学に満足を与えるものではなかった.電気泳動法によって,タンパク質をいくつかの成分に分画し,定量することができるようになったのは,1937年にTiselius法が考案されてからであり,医学の研究や診断に大きな力を与えるところとなった.しかし理論的にいかにすぐれた方法であってもその操作の複雑さ,条件維持のむずかしさ,時間の必要さ,処理能力の小ささなどが大きな隘路となった.これをカバーするように発展してきたのがペーパークロマトグラフィーであり,これと電気泳動とを組み合わせた形の‘支持体による電気泳動法’である.その主流をなしたのが濾紙法や今日隆盛のセルローズ・アセテート膜(以下セ・ア膜という)法といえよう.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.