研究
エヒノコックス症の間接赤血球凝集反応
熊谷 満
1
,
上田 正義
1
,
中村 律子
1
1北海道立衛生研究所疫学部
pp.541-545
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908083
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緒言
Boydenにより考案された間接赤血球凝集反応(以下IHAと略す)は,広く血清学的検査に応用されている。エヒノコックス症(以下包虫症と略す)の血清学的診断においても,Garabedianら9)によって紹介されて以来多数利用されているが,そのほとんどが単包虫症に関するもので,ヒツジ単包虫胞内液などの自然感染中間宿主動物より得た胞内液を抗原として用いて行なわれている11).しかし,多包虫抗原については,胞内液は得がたく,しかもIHAでは抗原性が弱く,鋭敏ではないと言われている1)。
われわれは,山下ら2-4)やKaganら5)の方法により,Cotton rats腹腔内に多包虫チステを作らせ,そのチステを材料としてKaganらの方法6)により抗原を作成し,それを抗原とする多包虫症のIHAによる診断を試みたので報告する.
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