異常値の出た時・5
ビリルビンの高い時,低い時
川出 真坂
1
1北里バイオケミカルラボラトリズ
pp.513-517
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908076
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ビリルビンはヘモグロビンの代謝終末産物で肝から胆汁中に排泄される.健康人の血清は炎黄色を示すが,これは大部分ビリルビンによるものである.ビリルビンの高い時,すなわち高ビリルビン血症があると,皮膚,粘膜の黄染が肉眼で認められるようになる.この状態が黄疸である.最近ビリルビンの代謝機構がかなり詳しくわかるとともに,より合理的な黄疸の分類が報告され,特殊な体質性黄疸の発生機構も明らかにされてきた.しかし黄疸の鑑別診断は単なる理論的興味だけでなく,実際の診療上患者の生命にもかかわるきわめて重要な問題である.
ビリルビンの低い時は血清の黄色調が少なく水っぼくみえる.タンパク,脂質なども低下している.これは栄養不良や悪性腫瘍,慢性炎症の末期にみられ,死期の近い場合が多く診断的意味は少ない.ゆえにここではビリルビンの高い時,すなわち黄疸の鑑別につき述べることにする.
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