技術解説
好中球の機能検査と意義
浅川 瑞穂
1
,
野田 明孝
1
1名市大第2内科
pp.1493-1503
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907874
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
好中球の機能は遊走・食食による異物の処理であり,したがって従来は体外に取り出した好中球を位相差顕微鏡により直視下に観察することにより運動・遊走能検査とし,墨汁粒子や細菌の取り込みをもって貧食能検査としていた.しかしながら近年,細胞内消化器官であるライソゾームが発見され,さらに小児の慢性肉芽腫性疾患1,2)や好中球ペルオキシダーゼ欠損症3)などの殺菌能の減弱はみられるが,殺菌の取り込みの正常である好中球を持った疾患が見いだされ,好中球の機能は遊走(趨化性),取り込み(貧食),殺菌,消化の4つの過程より成り,互いに密接に関連はしているが,それぞれ異なる代謝過程により営まれていることが明らかとなってきた.したがって好中球の機能検査の評価はこれらの4過程を別々に定量的に把握して,しかるのちに総合する必要がある.
このような意味でわれわれはあえて古典的な遊走・貧食能に関する解説は他書に譲り,われわれが現在行なっているヒト好中球に関する,遊走(趨化性),貧食,殺菌に関する検査法について解説を加えることにする.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.