研究
水を含まない新オルトトルイジン—ホウ酸試薬の開発と自動化学分析機への導入
高原 喜八郎
1
,
中西 茂子
1
,
鳥田 美恵子
1
,
山田 博
2
1日本専売公社東京病院検査科
2関東化学KK学術部
pp.524-528
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907619
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はじめに
1964年に佐々木匡秀1)らによって報告されたオルトトルイジン—ホウ酸試薬(O-TB試薬)は,今日なお血漿グルコース(血グ)の直接定量用試薬として,臨床化学の分野に広く貢献している7-9).さてこの試薬は氷酢酸(氷酢)より成っているために,氷酢によるタンパクの凝固を防ぐという目的から,水が飽和ホウ酸水として4%の割合に加えられていたが,この永は血グの直接定量を行なうのに対しては,実はタンパク凝固防止の意味はなかったようである.
すなわち第1の理由として,オルトトルイジン(O-T)が氷酢中に2%(v/v)以上に溶存してさえいれば,通常の実施条件下では血清を加えても何らの混濁もきたさないからである.これは塩基としてのO-Tが,氷酢と結合して塩のようなものを作るためからであろう.ただし2%未満では混濁をきたしやすかった.第2の理由は,水入りのO-TB試薬では血清タンパクに異常をきたすような例(ネフローゼ血清など)では,ときとして混濁を生ずる場合があるといわれているからである.
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