技術解説
リンパ球幼若化現象の検索—いわゆる‘PHA細胞検査’のルーチン化
河合 忠
1
,
近藤 泰正
2
,
河野 均也
1
,
賀屋 秀男
3
1日大・臨床病理
2日大臨床病理学教室
3日大病院中検
pp.1422-1428
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907031
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はじめに
リンパ球は比較的単純な形態を有している反面,その機能については不明な点が多かった.しかし,免疫学の進歩と臓器移植の発達によって,免疫機構における役割が重要視されている.リンパ球の形態面の検索は電子顕微鏡レベルにまで及んでいるのに比して1),機能面に至ってはわずか組織化学的検索がなされているにすぎない2).
ところが1960年Nowell3)により,植物の種子(Red-Kidney bean)より抽出された赤血球凝集素(phytohemagglutinin;以下略してPHAとする)が,正常の白血球の分裂を促進させる事実を発表して以来,多くの人々の注目をあびるようになった.しかもPHAの添加により培養リンパ球が変態を示すため,リンパ球の若返りおよび幼若化4,5),Lymphoblastic transformation,Lymphoblastogenesisなどと呼ばれ6-14),そのような細胞はしばしばPHA細胞と呼ばれている.この現象はリンパ球の機能の一面を表現すると考えられ,さらに細胞性免疫との関連においても注目されている.
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