主要疾患と臨床検査・21
小児疾患と臨床検査
小林 昭夫
1
1国立小児病院内科
pp.884-890
発行日 1970年9月15日
Published Date 1970/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906897
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はじめに
小児科で扱う疾患はきわめて多彩である.その臨床検査もおびただしく,そのすべてを述べることは紙面のつごうで不可能である.ここでは小児科のみにみられる疾患に限って,その臨床検査の概説を試みたい.
本論にはいる前に‘小児科での臨床検査の特質’についてふれておく.まず,(1)患児への負担が大きい検査は好ましくないばかりか,不可能である.たとえば乳児を長期間空腹にして検査を行なうことはできない.(2)サンプルの採取技術が困難であり,検査に制限が生ずる場合が少なくない.たとえば,新生児や乳児の採血はむずかしく,また採尿,特に24時間採尿を必要とする検査ではしばしば‘採尿もれ’が生じる.(3)採取できるサンプル量は,学童を除いては少量であり,したがって微量定量法が強く要求されてくる.(4)小児科領域での臨床検査は診断のための検査も多いが,検査成績により治療方針をすみやかに決定しなければ,患児の生命にかかわる種類の検査が少なくない.たとえば,新生児重症黄疸では血清ビリルビン値を測定し,もし高値を示す場合には交換輸血を行なわなければならない.もしこれを怠たれば核黄疸となり死亡するか,あるいは重篤な後遺症(脳性麻痺)を残すことになる.
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