技術解説
血餅退縮試験
小林 紀夫
1
1群大第2内科
pp.767-771
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906867
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緒言
血液は血管外にとり出されると,凝固し流動性を失って血餅を形成する.この血餅は次いで収縮してその容積を減じて血清を析出する.さらに時間がたてば血餅はやがて溶解して再び流動性となる.前者は血餅退縮,後者は線維素溶解現象と呼ばれている.
血餅退縮はできた血栓を強固にして止血を完全にする,あるいは収縮することによって閉塞してしまった血管の再流通を助けるなど,生体内で重要な役割を演じている.血餅退縮には血小板が主役を果たしており,血餅退縮試験は血小板第3因子活性,血小板粘着凝集能などとともに,血小板機能の検査法の1つとして広く用いられている.血小板無力症などの血小板の質的異常による出血傾向には,簡便で欠かせない検査法である.
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