1ページの知識 生理
—正常波形や記録のなりたちと生理的基礎知識・3—心音図
魚住 善一郎
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1東大第2内科
pp.480
発行日 1970年5月15日
Published Date 1970/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906787
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心音図とは心活動に由来する振動のうち,主として可聴域の振動をマイクロホンで採取し,濾波器を通して適当な成分を取り出して増幅し,記録器を用いて客観的に表示したものである.通常,時間的推移をみるために参考誘導として心電図を同時に記録するが,他の部位からの心音・血管音図,可聴域下の振動図(心尖拍動,頸動・静脈波など)を同時記録することもある(同時多誘導記録法).心活動に由来する振動のうち,持続の短い振動を心音,長いものを心雑音と呼ぶ.心音は内圧,血流の急激な変動の起きる時期に生じ,雑音は主として血液の流れによって生じる.胸壁を聴診すると2つの持続の短い振動—心音が聴ける。最初の音がI音,次の音がII音である.I音は心臓収縮の開始を表わし,II音は収縮の終わりあるいは心臓の弛緩開始を示している.したがって,血行力学上I音からII音までが収縮期であり,II音から次のI音までが拡張期である.
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