総説
生成機序からみたタンパク尿
河合 忠
1
1日大・臨床病理
pp.465-469
発行日 1969年6月15日
Published Date 1969/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906434
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
正常尿のタンパク組成
正常尿のほとんどの場合に尿タンパク定性試験が陰性である.しかし,もっとも鋭敏な検査法の1つであるスルフォサリチル酸法で陰性であるからといって,尿の中にタンパクが0であるということではない.正常尿中にも1日に40-80mg程度のタンパクが排泄されている.スルフォサリチル酸法でも1日に100mg以上のタンパクが出ないと検出できないというわけである。
正常尿中に含まれるタンパクの由来は図1のごとくまとめることができよう.すなわち,約40%は主として細尿管に由来する組織タンパクで占められている.残りの約60%は血液に由来する血清タンパクで,正常の糸球体基底膜の"ふるいの目"を通過して尿中に漏れ出てくる.正常尿をセルロースアセテート電気泳動法で分析すると,図2のようなタンパク分画像がえられる.すなわち,alb分画が約40%を占め,グロブーリン領域の分離は悪くα2とβの領域に1つの峰を形成している.主としてα2分画に比較的大きな峰をつくっているのが,前述の組織タンパクである.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.