特集 衛生検査技師学校新卒業生のみなさんへ
臨床検査室に勤務する人々に
小酒井 望
1
1順天堂大臨床病理学教室
pp.165
発行日 1963年3月15日
Published Date 1963/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906086
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近代的な医療には多種多様な臨床検査が必要であることが,医師はもちろんのこと患者にも認識されるようになってきた結果,病院では臨床検査室がどんどん拡充整備されつつあります。また診療所の医師,いわゆる開業医の場合は,地区医師会単位の臨床検査センターが次々に作られ,それがその地区の開業医の共有の臨床検査室としての機能を発揮しています。中には診療所でも技術員を傭って,かなりの種類の臨床検査を行なっているところもあります。この結果病院などの医療機関における臨床検査技術員の需要が激増し,従って衛生検査技師学校卒業生の大部分が医療機関に就職している現状です。
病院の臨床検査室(病院によっては中央検査部,臨床検査部などと呼ばれる)は診療各科に対するいわばサービス部門です。つまり診療科の必要とする検査を,迅速にかつ正確に行なうところです。この「迅速かつ正確」が臨床検査室の生命です。中でも「正確」はすべての検査について,つまり100%でなければなりません。料理のうまいかまずいかは食べてみればわかります。しかし検査成績が正しいか間違っているかは,あとではわからないことが多いのです。間違った成績にもとづいて診療すれば,患者が迷惑することになります。従って臨床検査室の技術員は,常に100%正確な検査成績を出さなければなりません。非常に大きな責任があるわけですが,それだからこそ自己の技術が患者の診療に直結しているという喜びもあるわけです。
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