研究
スポット・テスト法による尿定性検査の検討
丹羽 正治
1
,
永島 慶子
1
,
渡部 敏子
1
,
欠畑 典子
1
1国立東京第二病院医化学科
pp.581-586
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905878
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尿の定性検査は患者の診断を下す上に最も大切な検査の一つとして以前から一般に広く実施されていた事は周知の通りである。然しその検査方法は各種の定量検査方法の急激な発展に較べて著しく立ち遅れており,各施設で現在広く使われているものは恐らく数十年前のそれと大して変つていないものと思われる。この事はこの種の検査が低級なものと見做され,「高級」な検査に従事している人々に軽視されていた為と考えられる。然し乍ら現在各施設の検査室で行われている検査件数の半数以上はこの種の検査によつて占められており1),また最近の臨床検査の発展に伴つてその絶対件数も急激に増加しているためどの施設に於てもその能率的処理に悩んで居る事であろう。即ち尿定性検査を低級視してその検査方法の改良を怠つた報を現在受けていると言えるであろう。
この時に当つて尿定性検査を能率化して大量の検体処理を可能にするため,試験紙,錠剤或はアンプレ入り試薬などの市販品を使つて検査方法を改良することも行われており,それに関する文献も一括表記されている2)。また細長い濾紙に使用試薬を滲み込ませておき,その上に尿を次々と滴下して検査することも記載されている3)。これらの方法はいずれも尿定性検査を能率化するに適切なものと思われるが,それらに対して筆者の経験は乏しい。
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