技術解説
細菌学的臨床検査のために
高橋 昭三
1
1東京大学医学部細菌学教室
pp.18-21
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905316
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臨床細菌学的検査において,普通の細菌学の実験と異るのは,時間と材料の余裕の認められない事である。所謂病材料というものは,患者から得られるものであり,治療により,又菌に対する生体の反応により,細菌学的な病像は,どんどん変つてゆくものであり,他のいろいろの検査の際にくらべて,最も再現性の少いものである。即ち,ある患者から,得られた材料は二度と得られないものと思わねばならないし,又,その時の材料は,必ずしも多いものではない。又,時には,患者の受けて居る治療が,この材料の検査の結果により,大幅に変更される事もあるから,なるべく早く,結果が要求されるのは当然である。したがって,検査にあたり,自分の全智全能をつくしてそれを行うべぎものである。
検査材料をみた時,第一にする事は,あらゆる可能性を考えて,検査方針を立てる事である。その次には,培地の選択であり,要すれば,判定の時期を通知する事である。
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