特集 造血器腫瘍
Ⅳ 検査の実際
4.悪性リンパ腫―3)予後予測,治療効果判定のための検査
一井 倫子
1
,
田野崎 隆二
1
Michiko ICHII
1
,
Ryuji TANOSAKI
1
1国立がんセンター中央病院幹細胞移植科
pp.1407-1414
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905249
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はじめに
現在,悪性リンパ腫は,①病理組織型,②治療開始時の疾患の進展度,③患者条件(年齢,全身状態,合併疾患)が予後と相関することがわかっており,これらを基に予後を予測し,治療方針を決定していくことが一般的である.これにより,根治が可能となった症例も多いが,いまだに死亡率は高く,また,症例各々による個人差があることもはっきりしている.例えば,診断時に予後良好と予想されたにもかかわらず,治療開始時より抗癌剤不応性であったり,後に早期再発を来たす症例をしばしば認める.
近年,分子生物学,細胞遺伝学,免疫学の進歩により,腫瘍細胞の発現蛋白や染色体,遺伝子レベルでの解析が行われるようになったことで,細胞分化や遺伝子変異に基づいた腫瘍細胞の分類・予後予測,薬剤感受性の予想などが可能となり,また,治療後の残存病変を遺伝子レベルで評価することが可能となりつつある.また,検査技術の進歩に伴い,より迅速に,かつ一般的にこれらの検査が行われるようになりつつある.
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