今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・9
酸性緩衝液と反応するM蛋白
青木 義政
1
,
亀子 光明
1
,
藤田 清貴
2
Yoshimasa AOKI
1
,
Mitsuaki KAMEKO
1
,
Kiyotaka FUJITA
2
1長野市民病院臨床検査科
2信州大学医療技術短期大学部衛生技術学科
pp.946-947
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905173
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M蛋白は種々の検査成績に影響することが知られており,しばしば病態を反映しない異常値として観察される.この原因として測定試薬のpH,イオン強度,濃度,電荷,界面活性剤の種類等,様々な条件がM蛋白との反応に関与する.
図1に81歳,男性1)のセルロース・アセテート膜電気泳動パターンを示す.γ位に明瞭なM蛋白帯を認め,免疫電気泳動(図2),免疫固定電気泳動(図3)により,IgG4-λ型M蛋白と同定され,A型のBence Jones蛋白も観察された.入院時検査において,総蛋白が8.8g/dlにもかかわらずアルブミンが9.2g/dl,直接ビリルビンがマイナス値(-6.2mg/dl)と矛盾する測定値が得られた.またクリオグロブリン,パイログロブリンは検出されず,Sia testは陰性であった.
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