一口メモ
甲状腺微小癌
小俣 好作
1
1社会保険山梨病院病理部
pp.1264
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904547
- 有料閲覧
- 文献概要
剖検例の甲状腺を丹念に調べると,多数の微小癌が発見されることは以前から指摘されてきた.そのような癌は潜在癌(latent carcinoma)と呼ばれ,甲状腺では10%以上のヒトに発見されるが,近年,超音波検査の普及,精度の向上により,生前から検診などにより発見される機会が増えてきた(図1).社会保険山梨病院健康管理センターでは,1983年から1985年にかけ,検診受験者のすべてに甲状腺の超音波検査を行い,限局性の腫瘤状陰影の見られた受験者に対しては積極的に穿刺吸引細胞診を施行した1).その結果,男性の0.41%,女性の1.13%に癌が発見され,そのすべてが乳頭癌であった.
甲状腺の微小乳頭癌は潜在したまた経過する可能性が高く2),直ちに手術を行うべきか否かは問題である.超音波検査により発見される甲状腺微小癌は無害の癌(innocent carcinoma)として,治療対象外とするべきであるとの意見もある3).
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.