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医療の進歩に伴い医療情報が急速に増加しているなか,医学教育のあり方にも変化が求められている.従来の講義を中心とした受動的な教育形態からチュートリアルなどの問題解決を図りながら学生が積極的な学習を行う方法を取り入れる大学が増えつつある.情報の詰め込みではなく,問題を解決するために必要な情報を入手し学習する術を学ばせようというものである.この変化を支援するものとして期待されるのがインターネットの普及にみられる情報インフラの発展と情報科学の進歩である.効率的な情報入手と有用な情報の統合化が日標達成の1つの鍵となるからである.今日では電子教科書やMEDLINEなどの文献検索,あるいは,国立がんセンターのがん情報サービス*1)のようなworld wide web (www)に載せられたさまざまな情報が,ネットワークを介していつでもどこからでも入手可能となっている.また,電子メールでの質問や連絡も可能である.このような環境の中,上手に学生を方向づけることで効率的な問題解決型学習が促されると期待される.
一例として,インターネットの技術を学内LANに適用したイントラネットでのコンピュータを用いた検査医学教育について紹介する.当学では,基本的な臨床検査情報から患者に起こった病態を推論する診断演習(reversed clinico-path-ological conference;RCPC)を月1回の割合で行っている.この症例をデータベース化し,他の学生にもwwwの形で演習可能なシステムを構築した(図1).症例の病態を検査からひもどくためには,基本的な検査の読み方やその検査に関連した病態についての理解が要求される.学生は手元にある教科書やwwwで提供される電子教科書を参考に推論を進めるが,各検査の異常のみを追ってゆくと,鑑別診断に上がるものが多くなり思考が発散してしまう場合も多い.そこで,典型的な症例を多数集めて臨床症状や検査値をデータベース化し,検査値の異常頻度や値分布,2項目の検査の分布などが表示できる病態検査情報システムを構築し,活用可能としている(図2).さらに,検査値と病態の関係を掘り下げる目的で文献検索の課題を与え,解決に向けた支援を行っている.学生の症例検討が一定レベルに達した段階で,実際の臨床診断とその経過や画像検査,病理画像およびその診断を提示し,学生が考察した病態を検証し,フィードバックをかけることで問題解決の締めくくりとしている.
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