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中皮細胞の免疫組織化学的特徴―新しい中皮マーカーを中心に
伊藤 仁
1
,
長村 義之
2
1東海大学医学部付属病院病理診断科
2東海大学医学部病態診断系病理学部門
キーワード:
中皮細胞
,
中皮特異マーカー
,
鑑別診断
Keyword:
中皮細胞
,
中皮特異マーカー
,
鑑別診断
pp.585
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903736
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臓側,壁側の漿膜表面を覆う中皮細胞は,炎症などに伴い異型性を有するため,体腔液細胞診では腺癌との鑑別がしばしば問題となる.また,その腫瘍である中皮腫は組織学的に上皮型,線維型(肉腫型)および二相型(混合型)に分類され,上皮型は腺癌,線維型は肉腫との鑑別が困難となる場合が多い.これらを鑑別するために,中皮細胞および中皮腫の特徴について細胞学的,組織学的,組織化学的,電顕的,免疫組織化学的な種々の手法を用いて検討されてきた.なかでも,近年飛躍的に普及した免疫組織化学的手法は,この鑑別診断に最も有用な技法の1つとなっている.
中皮細胞は免疫組織化学的にケラチン,ビメンチン,デスミンの3種の中間径フィラメントが陽性を示す.特に肉腫型中皮腫におけるケラチンの証明は,肉腫との鑑別診断上重要である.また,卵巣癌の腫瘍マーカーであるCA 125が高率に陽性を示し,epithelial membrane antigen (EMA)は中皮細胞では陽性率が低いが,中皮腫,特に上皮型では高陽性率を示す.また,従来からcar-cinoembryonic antigen (CEA)が腺癌との鑑別に有用なマーカーとして応用されている.CEAと同様に中皮腫では陰性を示すマーカーとして,Ber-EP 4, Leu-M 1,VU-1 D 9, B 72.3などのモノクローナル抗体が知られている.また,新しい上皮性マーカーとしてMOG-31(Dako)と言われるモノクローナル抗体が市販されている.筆者らの体腔液を用いた検討では,腺癌は高い陽性率を示し,中皮細胞の陽性率は低く,陽性を示す症例でもその数はきわめて少ない(表1).
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