特集 免疫組織・細胞化学検査
臓器別応用例
9.中皮細胞
横井 豊治
1
Toyoharu YOKOI
1
1和歌山県立医科大学第二病理学
pp.251-254
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902726
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はじめに
中皮(mesothelium)は中胚葉に生じた腔の内面を覆うところから付けられた名称である.正常時には臓器のいちばん外側と体壁の内側を覆うだけの目だたない存在である中皮細胞が,ひとたび病的状態が生ずるや体腔液の貯留とともに多数出現し,姿を変え悪性細胞をも模倣する.そしてまれながら中皮自身も悪性腫瘍になりうる.中皮細胞が検査医学の領域で,特に細胞診の分野で長年にわたって注目され,主要な研究テーマとなっているのはこのような理由からであろう.
日常診療上しばしば困難な問題を投げかける中皮細胞に対して免疫組織化学の光が当てられる端緒となったのは,腺癌と中皮腫の鑑別診断へのCEAの適用であろう(Wangら,1976年).以来さまざまな抗体が試みられかなりの成果が上がっているが,今なお的確な鑑別を行うには限界があるのも事実である.
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