今月の主題 臓器移植と臨床検査
話題
心移植
白倉 良太
1
Ryota SHIRAKURA
1
1大阪大学医学部附属バイオメディカル教育研究センター臓器移植学研究部
キーワード:
同種心移植
,
移植成績
,
心移植の適応
Keyword:
同種心移植
,
移植成績
,
心移植の適応
pp.911-914
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903396
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1.はじめに
世界最初の心臓移植に成功したのが1967年12月であるから,もうすぐ30年になろうとしている.この間,世界では,260近い施設で総計約40,000例の心移植が行われてきた.わが国でも1968年8月に1例の心移植(世界で30例目,81日の生存は9番目の成績)が行われた.不幸なことに,その後日本では腎臓以外の臓器移植ができなくなったが,その反省のうえに立って,ようやく再開のめどがたちかけている.すなわち,つい先日(1997.6.17)脳死を人の死としたうえで臓器移植を可能とする"臓器移植に関する法律"案が衆・参両院で可決された.日本で心移植,肝移植などが受けられる日を一日千秋の思いで待ち望んでいる患者さんにとって大変な朗報である.しかし,本人が脳死判定後の臓器提供を文書で生前に示していて,家族がそれを拒まないときのみ臓器提供が可能とされており,臓器提供の機会が極端に制限される.早ければ,本誌が読者のもとに届くころには"心移植再開"のニュースに湧いているかもしれない.
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