特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓性疾患と検査
6.閉塞性動脈硬化症
新本 春夫
1
,
重松 宏
1
Haruo ARAMOTO
1
,
Hiroshi SHIGEMATSU
1
1東京大学医学部第1外科
pp.257-261
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903142
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はじめに
閉塞性動脈硬化症(以下ASO)は全身の動脈硬化の一部分症として四肢の慢性的な狭窄や閉塞をきたす疾患であり,種々の虚血症状が出現する.主たる病態としては,動脈壁における粥状硬化とともに血栓形成が挙げられ,血液の過凝固状態が深く関与している.ASOにおける血栓形成の機序は,粥状硬化に起因する血管内腔狭窄部位に生じるいわゆる2次性血栓症であり,狭窄部位において乱流が生じるために血小板にずり応力(shear stress)がかかり,血小板の活性化や凝集による血小板血栓(白色血栓)の形成に引き続き,血流のうっ滞に伴う凝固系の活性化による赤色血栓が形成される.さらに,こうした血栓が線溶系を2次的に亢進させると考えられるが,病状や病態に応じて凝固線溶機能は複雑に修飾される.
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