特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
6.画像診断
1)血小板シンチグラフィ
塚田 理康
1
,
斉藤 京子
2
,
村田 啓
2
Toshiyasu TSUKADA
1
,
Kyoko SAITO
2
,
Hajime MURATA
2
1中央大学保健センター
2虎の門病院核医学
pp.216-221
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903131
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はじめに
動脈血栓の形成には血小板の生理的止血機能が主役を演じている.血管内皮細胞が傷害され剥離すると,内皮細胞下組織に血小板が粘着して活性化され,放出・凝集反応を起こす.同時に血小板膜表面でプロトロンビンの活性化が起こり,フィブリン糸が作られ血栓が形成される.静脈血栓形成の主役は血液凝固反応であり,血小板は形成された血栓に取り込まれるか,フィブリン糸に結合するといった消極的関与をしているにすぎない.
生体内の血栓形成を証明する検査法として,ドプラ超音波診断(impedance prethysmography, Nuclearmagnetic resonance; NMR),血管造影(indium; In-111)標識血小板あるいはTechnetium (Tc)-99m標識抗フィブリン抗体による血栓シンチグラフィ(シンチ)が用いられている.このうち,In-111標識血小板によるシンチ検査は,血栓や血管内皮細胞下組織への血小板の集積を示すもので,新鮮な血栓の存在のみを証明し,同時に血栓へ集積する血小板量の半定量も可能にしている.新鮮な血栓は梗塞を起こす危険性を持ち,血栓の新旧の鑑別および抗血小板療法の効果判定は,臨床上重要である.
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