今月の表紙 臨床細菌検査
Legionella pneumophila
猪狩 淳
1
1順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.250-251
発行日 1995年3月15日
Published Date 1995/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902393
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1976年7月,米国フィラデルフィア市のあるホテルで開かれた全米在郷軍人大会で原因不明の集団肺炎が発生し,参加者に死亡者が出た.この原因菌としてCDC(Communicable Disease Cen-ter)によって新しい病原菌が発見され,Legionella pneumophilaと命名された(1979年).この細菌はLegionella科のLegionella属に包含され,その後Legionella属には次々と新しい菌種が発見され続けている.
Legionella属菌は偏性好気性グラム陰性の短桿菌で,中央部が膨らんだ多形性を示す.極単毛菌で運動性を持つ.莢膜,芽胞を作らない.糖非分解であり,カタラーゼ弱陽性,オキシダーゼ弱陽性~陰性を示す.通常の細菌検査用培地には発育せず,発育には鉄イオン,L-システイン,L-メチオニンなどを必要とする.したがって,固形培地に活性炭を加え,寒天中の発育阻害物質を吸着除去したB-CYE (buffered Charcal Yeast extract)寒天培地,α-ケトグルタル酸を加えたB-CYEαの培地が用いられる.発育至適pHはきわめて狭く,pH6.9±0.05に調整する.この培地で十分湿度を保って,35℃,3~7日間培養する.青白色の表面光沢のあるスムースな大小不揃いの小集落を生じる.
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