特集 ホルモンと生理活性物質
各論
8.性腺ホルモン系
2)プロゲステロン
小辻 文和
1
,
富永 敏朗
1
Fumikazu KOTSUJI
1
,
Toshiro TOMINAGA
1
1福井医科大学産科婦人科学教室
pp.165-167
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902211
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生合成・分泌・作用
1.生合成
プロゲステロン(progesterone)は卵巣,睾丸,副腎皮質,胎盤で生合成され,エストロゲン,アンドロゲン,副腎皮質ホルモンの中間物質として利用される.卵巣では卵胞細胞が黄体化するとプロゲステロンを変換する酵素が減少する.また,胎盤にはこの酵素が存在しない.したがって,黄体や胎盤で生合成されたプロゲステロンの多くは流血中に分泌される.
図1にプロゲステロンの生合成過程を示す.プロゲステロンはコレステロールを前駆体として生合成され,ヒトでは流血中の低密度リポ蛋白コレステロールが主に利用される.コレステロールはミトコンドリアに運ばれ,コレステロール側鎖切断酵素(side-chain cleavage cytochrome P 450:P450scc)の働きにより,20と22位の炭素が水酸化と側鎖切断を受けプレグネノロンとなる.プレグネノロンは滑面小胞体内で3β水酸基脱水素酵素(3β-hydroxysteroid dehydrogenase/5-4isomerase;3β-HSD)の作用を受け,3位の水酸基がケトン化され,二重結合を5-6位から4-5位に移しプロゲステロンとなる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.