特集 ホルモンと生理活性物質
各論
6.副腎皮質ホルモン系
8)17α-ヒドロキシプロゲステロン
柴田 幸信
1
,
五十嵐 良雄
2
Yukinobu SHIBATA
1
,
Yoshio IGARASHI
2
1社会保険浜松病院小児科
2浜松医科大学医学部小児科
pp.140-142
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902200
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生合成・分泌・機能
1.生合成・分泌
副腎皮質における17α-ヒドロキシプロゲステロン(17α-hydroxyprogesterone;17α-OH-P)の生合成過程は,コレステロールからプレグネノロンが合成されることから始まる1,2).細胞中のミトコンドリアに取り込まれたコレステロールは,ミトコンドリア内膜に存在するコレステロール側鎖切断酵素によりC20,22の水酸化と20~22内の切断を受け,プレグネノロンとなる.この酵素はNADPHからの電子伝達系と共役したチトクロームP450であり,P450sccと呼称されている.チトクロームP450は生体における諸物質代謝に広く関係しているヘム蛋白の一群で,副腎皮質酵素反応のエネルギー供給系である2).コレステロールからプレグネノロンへの反応は3回の酸素添加反応(原子酸素添加反応)であり,最初の反応に律速される.コレステロールがP450sccに結合すると,プレグネノロンまでの反応は続いて起こる.
合成されたプレグネノロンは拡散によってミトコンドリアから遊離し,ミクロソーム(endoplasmicreticulum)に移行する.そこで3β水酸基脱水素酵素と△4-5イソメラーゼ(この両者を3β-hydroxy ster-oid (or-ol) dehydrogenaseと呼んでいる)の双方の働きによりプロゲステロンとなる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.