今月の主題 輸入感染症
巻頭言
国際化と輸入感染症
三輪谷 俊夫
1
Toshio MIWATANI
1
1大阪大学
pp.821-822
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901166
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わが国は戦後の奇跡とも言うべき経済復興を遂げて短期間に先進国の仲間入りを果たし,世界の経済大国にまで成長して,21世紀に向け国を挙げて国際化時代に突入したと言える.特に発展途上国に対する互助精神の上に立った指導的役割が要求されている.
わが国で開催される国際会議は民間企業主催も含めると年間1,000件を突破し,年々増加していく傾向にある.海外旅行者はここ十数年来飛躍的に急増し,わが国の国際空港における検疫人数は,1970年には213万人であったが,1974年には2倍近い400万人,円高メリットも作用して1980年には669万人,1990年には1,000万人を突破し,増加し続けている.このような海外旅行者の急増に対応すべく,関西財界の支援によって大阪湾の泉州沖では24時間営業の関西新国際空港の建設工事が急ピッチで進められている.当初は1993年の開港を目指していたが,埋め立て地の地盤沈下や人手不足もあって工事予定は大幅に遅れているが,事務予測として現在の大阪空港国際線の3~6倍の旅客数が見込まれ,アジア,アフリカから飛来する航空機の割合は全体の60%と推定されていて,関西新国際空港はまさに発展途上国からの日本の玄関口になろうとしている.はたして検疫体制,輸入感染症対策は十分なのだろうか.
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