学会印象記 第5回アジア・太平洋臨床生化学会
注目される日本の学術的支援
中 恵一
1
Keiichi NAKA
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学教室
pp.1276
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900902
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学会長の宮井潔先生(大阪大学医学部臨床検査診断学教室・教授)の顔が真剣になってきた.第5回アジア・太平洋臨床生化学会のサヨナラパーティでの挨拶の場面である.演台上で今学会に参加された人の国籍,国名が次々と紹介される.ヨーロッパ,中近東,北南米,アジアと地域ごとに42に及ぶそれを言われるのであるが,国名が多いことに一般の参加者が気付き,宮井先生はメモも見ず空でそれを淀なく続けられることに驚きを禁じえなくなってきた.聴衆の驚いた顔とざわめきの中で,当の学会長の顔が真剣さを加え,そしてすべてを紹介し終わると同時に満顔の笑みが彼と会場にいる全員の緊張を破って一気に大拍手となった.宮井先生の記憶力と,参加国の延べ数の多さへの賞讃であった.隣席のドイツ人がアジア・太平洋の学会ではないね,国際学会じゃないかと感想を漏らした.アジア・太平洋臨床生化学会議は1979年にシンガポールのTamの努力によって発会し第1回の学会がシンガポールで開催され,この時から多くの日本人も参加,貢献をしてきた.以降3年ごとに学会が開催され,これまでバリ島や,香港で行われてきたが,今回は宮井潔教授の努力で日本において開催された.
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