特集 アレルギーと自己免疫
II.アレルギー疾患
3.アレルギー疾患と検査
7)職業アレルギー
中村 晋
1
Susumu NAKAMURA
1
1大分大学保健管理センター内科
pp.133-141
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900825
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はじめに
職業に関連したある特定の物質が抗原となって惹起されるアレルギー疾患を職業アレルギーoccupational allergyと呼ぶ.一概に職業といっても歴史的に何百年来連綿と続いている伝統的なものもあれば,最近新しく興った産業もあり,また全国どこにもある普遍的なものから,ある地域にのみ限局する独特で地方色豊かなものまで多彩を極める.したがってこれらの職業に関連する物質には,ごくありふれたものから,一般には考え及ぼないものまで非常に広範囲にわたる.一方このような職業環境において感作性物質(抗原)の作用を受ける生体側の臓器をみるとcase bycaseに異なり,発現するアレルギー症状(疾患)にも差を生ずるのは当然で,同一抗原によっても臨床上ある場合は喘息発作が起ったり鼻症状,結膜症状をみるが,またある場合には皮膚炎が前面に押し出されることがあり,これらが相互に合併することも少くない(表28).
本稿では誌面の都合もあり,職業性接触性皮膚炎については貼布試験など皮膚科的手技が検査の中心となり該当項で詳述されるのでその方に譲ることとし,職業性喘息と職業性過敏性肺臓炎に的を絞って診断に必要な臨床検査について述べる.
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