学会印象記 第36回日本臨床病理学会総会
医療全般から見た臨床検査の再検討―経験主義から統合的選択へ,医学判断学の登場!!/新たな試みに満ちた充実の3日間
野口 英郷
1
Hidesato NOGHUCHI
1
1自治医科大学臨床病理
pp.102-103
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900025
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平成時代最初の第36回日本臨床病理学会総会は,1989年10月5日(木)から7日(土)までの3日間にわたり,京都市宝ヶ池の国立京都国際会館にて,京都大学医学部臨床検査医学教授・村地孝総会会長の下で開催された.一般口演379題,一般掲示343題の計722題のほかに,シンポジウムが16ものテーマで討論された.また,恒例の総会会長講演と特別講演があり,他に技術セミナーが10本,各種専門部会7本があり,最後に公開フォーラムが持たれた.なお,3日間を通して,120社にのぼる医療関連企業の参加の下に,恒例の医療検査機器展示会が今年は同一会場に併設された.
総会会長講演は「calpainとcalpastatin」であった.calpainはCa2+で活性化されるSH基を持ったプロテアーゼの総称で,細胞内ペプチド鎖の限定分解を担う非リソソーム・プロテアーゼであり,calpastatinはcalpainに特異的に作用する細胞内在抑制因子の総称であって,両者とも細胞内に局在して,calpain―calpastatin系という一種の生体制御系を形成している.calpainにはⅠ型とⅡ型,calpastatinには組織型と赤血球型というそれぞれ2種ずつのアイソエンザイムが存在する。両者ともほとんどすべての動物細胞に分布しているが,それらの含有量には組織細胞の種類により大差がある.この事象の意義の解析は今後の課題である.
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