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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン
各論(心エコー類似所見別または病態別)
1章 弁膜疾患
三尖弁の異常
Abnormality of tricuspid valve
柳 善樹
1
1独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 臨床検査科
pp.393-401
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202970
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基礎知識
三尖弁は前尖,後尖,中隔尖の3枚の弁葉からなる.前尖は半円状で3つの弁尖のうちで最も大きいとされる.後尖は自由縁に切れ込みを有してscallopを形成することが多く,約半数の症例において後尖は複数の弁葉から構成されると報告される1,2).
三尖弁閉鎖不全症(tricuspid regurgitation:TR)の成因は,三尖弁自体が原因の一次性と,弁尖自体の変性は乏しく弁輪拡大や右室拡大などに伴うtetheringが原因の二次性に大別される.TRの成因の多くは二次性(70〜90%)が原因である3).右心不全症状を主体とするが,左心不全と比較すると自覚症状の乏しいことが多く,高度TRであっても無症状であることも少なくない.収縮期雑音の聴取は重要であり,特に吸気時に雑音が増強するRivero-Carvallo徴候は特徴的な聴診所見である.
三尖弁狭窄症(tricuspid stenosis:TS)はまれである.多くはリウマチ性で単独のTSはまれであり,多くは僧帽弁狭窄症を合併する.その他の原因としては,カルチノイド症候群,先天性,ペースメーカ(pacemaker:PM)リードとの癒着や腫瘍などが挙げられる.
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