増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室
生理機能
肝内門脈浸潤を伴う腫瘤について,鑑別疾患や評価方法を教えてください
斎藤 聡
1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院肝臓センター
pp.476-477
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202694
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
肝内門脈浸潤を伴う腫瘤
肝内門脈浸潤のみられる腫瘍の多くは肝細胞癌である.胆管癌や膵癌などでもみられるが,肝内門脈浸潤は肝細胞癌の大きな特徴である.「原発性肝癌取扱い規約」1)によれば,門脈の二次分枝より末梢がVp1,門脈の二次分枝がVp2,門脈の一次分枝がVp3,門脈本幹がVp4とされる(表1)1).原則的に原発巣部位から連続的に進展し,スキップすることはない.超音波や造影CT検査などの画像診断ではVp1やVp2までは評価も困難なことも多い.
門脈浸潤を伴う肝癌では供血路が動脈血のみの腫瘍と動脈・門脈両者の非癌部肝組織とでは造影コントラストがつきやすいが,両者ともに動脈血流のみの供給となると腫瘍の境界不明瞭化やコントラスト不良となり,さらには門脈経由の肝内転移が多発する.Vp3やVp4は非常に予後が悪く,有効な治療方法も確立されていない.門脈が完全閉塞すると門脈圧亢進症が急速に悪化し,食道静脈瘤の破裂,腹水貯留などの病態の急激な悪化をきたすことがある.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.