増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見
2章 心エコー
急性心筋梗塞(急性冠症候群)とその合併症
加賀 早苗
1
1北海道大学大学院保健科学研究院
pp.416-421
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202331
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疾患の概要
急性心筋梗塞の成因は,冠動脈プラークの破綻とそれに続く血栓形成による冠動脈内腔の閉塞であり,共通の機序によって生じる不安定狭心症を含めて,急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)という一連の病態として扱われる1).急性心筋梗塞はさらに,貫壁性の虚血が生じていることを示唆する心電図上のST上昇を伴うST上昇型心筋梗塞(ST elevation myocardial infarction:STEMI)と,それを伴わない非ST上昇型心筋梗塞(non ST elevation myocardial infarction:NSTEMI)に分類される.
急性心筋梗塞と不安定狭心症は心筋壊死の有無(心筋バイオマーカーの上昇の有無)によって区別される.ACSの自覚症状は前胸部痛や前胸部圧迫感であるが,非典型的な症状や軽微な症状が重篤なACSの症状であることもまれではない.症状が20分以上持続する場合は,急性心筋梗塞の可能性が高い1).発症後,再灌流療法までの時間が遅れるほど心筋障害が進行して死亡率が上昇するため,早期診断が極めて重要である.
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