増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見
1章 腹部エコー
急性肝炎
丸山 憲一
1
1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部
pp.334-338
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202315
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疾患の概要
疫学
急性肝炎とは,主に肝炎ウイルスが原因で起こる急性のびまん性疾患であり,肝炎ウイルスにはA,B,C,D,E型の5種類が確認されている.肝炎ウイルスではないものの,EBウイルス(Epstein-Barr virus:EBV)による伝染性単核球症やサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染に伴う肝障害も知られており,さらには,急性肝炎様に発症する自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)や抗菌薬,解熱鎮痛抗炎症薬,精神神経領域薬などで肝障害をきたす薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)も存在する.
国立国際医療研究センター・肝炎情報センターからの報告では,1980〜2017年の期間におけるわが国の急性肝炎の起因ウイルス別発症頻度は,A型(約30%),B型(約30%),C型(約10%),非A非B非C型(約30%)である1).2010〜2017年の期間に限ると,A型(約10%),B型(約40%),C型(約10%),非A非B非C型(約40%)とA型の発症頻度は低下してきている.B型は性的接触による感染が多く,D型は,診断そのものが困難で正確な感染状況は把握されていない.一方,E型は2000年ごろから北海道や関東地域での集団発生,流行が問題となってきている.
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